顧客価値の発見と理解

第4章 マーケティングの基本枠組み

市場細分化

マス・マーケティング   ⇒ ターゲット・マーケティング

ショットガン・アプローチ ⇒ ライフル式アプローチ

 

①対象とする顧客の選定

 市場細分化  市場を小さなセグメントに分割する

 ターゲティング  参入するセグメントを選定する

 

②価値提供の決定

 差別化  優れた顧客価値を創造するために市場提供物を差別化する

 ポジショニング ターゲット顧客のマインド内における市場提供物の位置を決める

 

市場細分化の変数

 地理的変数 関東と関西のおでん出汁など

 デモグラフィック変数(人口動態変数) 

     年齢、性別、世帯規模、家族ライフサイクル、所得、職業、学歴

     測定しやすいのでよく使われる。

     ディズニークルーズラインは、子供がいる家庭向け

     バイキングリバークルーズは、高年齢カップルや独身者向け

     ハーレーダビッドソンの女性取り込み

 サイコグラフィックス変数

     社会階層、ライフスタイル、パーソナリティ、嗜好

 行動変数

     使用場面、追求するベネフィット、利用経験、

     ロイヤルティの水準、購買準備段階

 

 

効果的な市場細分化の要件

①測定可能性   セグメントの規模、購買力、特性を 測定できるか

②接近可能性   セグメントとは直接接近可能である か

③利益確保可能性 セグメント は収益を生むのに十分な大きさか

④差別化可能性  区別可能であり、マーケティング・ミックスの要素や

         プログラムに対して異なる反応を示すセグメントか

⑤実行可能性   効果的なプログラムを設計できるか

 

ターゲティング

評価基準のどれを重視して市場を決めるか?

 ⇒資金力、競争力、企業戦略、ブランドマネジメントに依存

 

①セグメントの規模と成長性

②競合他社の数など、セグメントの構造

③自社の目的と経営 資源

 

市場 ポテンシャル

  ・市場規模

  ・顕在需要と潜在需要

  ・成長率

市場 浸透

  ・参入順序

  ・先発優位性

  ・製品・マーケティング上の優位性

規模 の経済、経験曲線効果

競争的魅力度

  ・ポテンシャルマーケットシェア

  ・競合企業に対する強み・ 弱み

 

無差別型(マス)マーケティング

差別型(セグメント)マーケティング

集中型(ニッチ)マーケティング

地域・個人(マイクロ)マーケティング   

   ワン・トゥー・ワン・マーケティング

   マス・カスタマイゼーション

      ・製品の生産活動におけるオペレーションの効率性を高めながら

       標準化 マスプロダクション

      ・最終顧客の提供場面で個別対応を 図る

      ・Dell のダイレクト・ モデル

 

 

ポジショニング

競合製品と比較して、

①当該製品がどのような位置にあるか

②顧客のマインド内でどのような位置を占めるか

を明確にする

 

ポジショニング・マップ

① 差別化可能な違いの明確化

② 適切な違いの選択

③ 全体的なポジショニングの選択

⇒効果的に伝達する

 

 

差別化とポジショニング

 

USP と競争優位の選定

USP(unique selling proposition)

競合 に対してどのような差別化を図るか ⇒答えは一つではない!

 

重要性 :ターゲットとする顧客セグメントから見て重要で、高価値のベネフィットをもたらす

独自性 :競合ブランドにはない、もしくは自社が特殊な形で提供できる

優越性 :同じベネフィットをもたらす他ブランドより優れている

伝達性 :見える形で伝達しうる

防御性 :競合ブランドから簡単に模倣されにくい

支払可能性 :対価の支払いが可能=手 の届く価格である

収益性 :収益を確保できる

 

 

ポジショニングの変更と維持

ポジショニング・ステートメントを作っておく

 「《標的とするセグメントとニーズ》にとって、我々の《ブランド名》は

  《差別化ポイント》という《製品カテゴリー》である。」

 

ポジショニングの確立と変更には長時間を要する

     (一瞬で失うこともある)

 

パフォーマンスとコミュニケーションの一貫性によって慎重に維持する

 

環境変化への適応 ⇒ ポジショニングの変更

        (顧客を混乱させないことが重要)

 

 

第5章 マーケティング情報とカスタマーインサイト

いかに市場の潜在ニーズを掘り起こすか

何が欲しいのか、顧客自身でさえ言葉にできないのが普通。

それを深い洞察(インサイト)によって、把握する。

 

SNSによってボトムアップ型の情報が増え、

カスタマーインサイトがタイムリーに低コストで入手できるようになった。

 

マーケティング情報を使う人

  ・マーケティング部門  

  ・供給業者や再販業者など外部のパートナー

 

マーケティング情報の抽出

社内データ   データベースの構築

  • 顧客のデモグラフィックス、サイコグラフィックス、
    購買行動などの情報
  • 顧客満足度、アフターサービスに関する情報
  • 売上高、コスト、キャッシュフロー
  • 生産スケジュール、出荷、在庫
  • 再販業者の反応、競合他社の動向

 

社外データ

 顧客を取り巻く環境

 競合他社の動向と評価

 機会と脅威に関する情報

  • インターネット上のうわさ話の監視、顧客の観察、自社社員への質問、
    他社製品に関するインターネットでの情報収集、見本市への参加など
  • 顧客が自社ブランドに対してなにを語り、どのようなイメージを抱いているか
  • 顧客との交流 感想を述べる場に社員を潜り込ませる
  • チャットの定期的な確認
  • 競合の新製品の発売、市場の変化、競争上の潜在的な強みと弱み
  • 競合の年次報告書、刊行物、見本市での展示、プレスリリース、
    広告、ホームページ、インターネット検索

 

マーケティング・リサーチとは

 組織が直面する特定のマーケティング状況に関するデータを、

  体系的に設計、収集、分析、報告すること

  • 顧客の購買動機、購買行動、満足度についてのインサイト
  • 市場潜在力や市場シェアの予測
  • 価格、製品、流通、プロモーションの効果測定

 社内の調査部門 外部の専門家 外部のデータ購入

 

<手順>

問題点と調査目的の明確化

  ↓

調査計画の策定

  ↓

調査計画の実行(データの収集・分析)

  ↓

調査結果の解釈と報告

 

マーケティング・リサーチの3つのタイプ

探索型リサーチ(観察調査)

 問題点の明確化と仮説提案に有用な予備情報の収集

記述型リサーチ(サーベイ調査)

 製品の市場潜在力、購入する消費者のデモグラフィックスや製品に対する態度など、実態の記述

因果型リサーチ(実験調査)

 原因と結果についての仮説検証

 

 

調査計画の策定

 

二次データの収集  

  ・社内にすでにあるデータ

  ・外部の情報源

     ザ・ニールセン・カンパニー、テレコン21

     J.D.パワー・アンド・アソシエイツ

     ブルームバーグ

     ビデオリサーチ(タイムシフト情報)

 

リサーチによる一次データ収集

<観察調査>

  • 行動を見る
  • 声を聞く
  • 気持ち、態度、動機は明らかにできない
  • 長期にわたる行動、めったに取らない行動は観察困難
  • 観察した内容の解釈は難しい


<エスノグラフィー調査>

  • 「ふだんの生活」の中での観察と交流
  • ウェブノグラフィー

 

<サーベイ調査>

  • 記述的情報の収集
  • 知識、態度、好み、購買行動を聴取可
  • 電話、郵送、ウェブ

 問題点

 行動、その理由について記憶がない、考えてもいない 答えられない

 見ず知らずの調査員 非協力的 協力的、知ったかぶり

 あまりに個人的なこと



<実験調査>

目的に合致したグループを複数選び、それぞれに異なる操作を行って、
変数をコントロール グループ間の違いを検証


顧客、競合他社、製品などの重要情報をどのように抽出し管理するか

サンプリング計画

母集団の縮図になっているか?
①サンプリングの単位(対象者は誰か)

②再プルサイズ(何人)

③サンプリング手順(回答者の抽出方法は)

確立的サンプリング
単純無作為抽出法 母集団の全構成員から、ある一定の確率で無作為に抽出する
層化抽出法 母集団を重複しないグループ(年齢別など)に分け、各グループにより無作為に抽出する
二段階無作為抽出法 母集団を重複しないグループ(地域別など)に分け、無作為にいくつかのグループを選び、それぞれのグループから無作為にサンプルを抽出する
非確率的サンプリング
便宜的抽出法 リサーチャーが最も情報を入手しやすい対象者を選出する
判断的抽出法 リサーチャーが正確な情報を得るために最適だと判断した対象者を選出する

マーケティング情報を鮮度の高いカスタマーインサイトへ変える

データ処理、分析

・データの精度、完成度のチェック

・コード化、まとめ、統計処理など

 

重要な情報、インサイトの抽出

結果の解釈

結論の導出

・経営上の意思決定の一助となる重要な所見とインサイト

 

顧客リレーションシップ・マネジメント

 タッチポイントで顧客情報をつかみたい ⇒組織内に散乱

 CRM(Customer Relationship Management)

 

 

第6章 消費者の購買行動

消費者行動のモデル

消費者行動の刺激ー反応モデル

 刺激(製品特性、プロモーション)

   ↓

 ブラックボックス(購買者の特性、購買者の意思決定プロセス)

   ↓

 消費者の反応(態度、購買行動、ブランドとの関係)

      ↑どのように変わるか

 

消費者行動に影響を与える特性

文化的要因

文化

サブカルチャー

社会階層

学習、家族、

文化を規定する消費(消費行動で文化は実体化)

消費を規定する文化(宗教、イスラム法)

サブカルチャー:価値体系を共有する集団

 

社会的要因

準拠集団

家族

役割と地位

準拠集団:個人の意識や行動に影響を与える集団

     家族、学校、友人グループ

個人的要因

ライフスタイル

パーソナリティ

年齢とライフサイクルの段階

職業   経済状態

 

自己概念

ライフサイクル

 衣食住の他に消費生活、余暇の過ごし方(AIO)

パーソナリティ

 他と異なる心理的特徴(ブランドパーソナリティ)
  アーカー:誠実、興奮、 能力、洗練 、無骨

心理的要因

動機

知覚

学習

信念と態度

動機 マズローの欲求5段階説
   生理的⇒安全⇒社会的⇒評価⇒自己実現

知覚 接触:刺激が五感に入ること

   注意:特定の刺激に専念する行為

   解釈:知覚した刺激に意味を与えること

   選択的注意⇒選択的歪曲⇒選択的記憶

学習 経験によって個人の行動が変化すること

  学習プロセス

  ①行動主義 報酬や罰は将来の自分の反応に影響

  ②認知主義 人は情報を活用する問題解決者

信念 人があるものに対して抱いている記述的な思考

態度 人があるものに対して抱いている評価や感情
  感情 :どのように感じるか

  行動 :何かをしようという意図

 

  認知 :対象に対して抱く信念

 

モノが象徴する価値

多属性態度モデル

・消費者の態度を理解するためにマーケティング調査で用いる手法

・対象製品に対する消費者の態度評価 は、その対象の複数の属性についての信念で決まる

※0点~ 10 点で評価。 10 点が最高のレベル。但し、価格は一番低いものが 10 点。

  • 総合得点で決める 線形代償型 の人はどれを選択するか?
  • 価格を最重要視している 辞書編纂型 の人はどれを選択するか?
  • 最低レベル 5 点という 連結型 の人はどれを選択するか?

 

態度の改善はどのようにすればよいか

 

製品の再設計:物理的リポジショニング

ブランドに対する信念の変更:心理的リポジショニング

 

競合ブランドに対する信念の変更

 競争的ポジショニング

    購買者が競合ブランドを実際高く評価している場合に有効

 

重要度の比重変更

 自社製品が優れている属性をより重視するよう購買者を説得する

 

無視された属性への注意喚起

 

購買行動のタイプ

購買者の関与水準とブランドの差異による 分類

  高関与 低関与  

ブランド間の

知覚差異(大)

複雑な購買行動

(情報処理型)

バラエティ・シーキング

型購買行動

 

ブランド間の

知覚差異(小) 

不協和逓減型

購買行動

習慣的購買行動  

複雑な購買行動(情報処理型)

・集中的・包括的に情報処理する

・高価なもの、購入リスクがあるもの、購入頻度の低いもの、自己表現の手段となるもの

・ブランド間の差異が知覚される場合

・認知的な学習プロセス:ブランドのイメージや理解を形成

・ブランドについての全体的な評価(態度)⇒具体的な購買行動

・来店前に情報を収集、店舗内でも積極的に情報処理を行う

 

不協和低減型購買行動

・事前にかなり情報収集するがブランド間には差異がないと考えているので、購買は早い

・購買行動⇒ブランドを支持する信念の形成⇒ ブランドへの評価(態度)

・時間的 に余裕があれば広告やパンフレットなどの情報を検討、

 店内では価格が手ごろ、在庫があったといったように簡単に決める

・むしろ購買後に生じる認知的不協和の解消を!

 

習慣的購買行動(低関与)

・どれも似たりよったりだし、どれでも大した問題ではないという心理

・価格が安い、知っているブランドという単純な理由

・反復して購買している場合でも、単なる慣性、変えるのは面倒

・見かけ上のロイヤルティ

・必要最小限の情報処理

 

バラエティ・シーキング型購買行動(低関与)

・いくつかの異なるブランドを使用し、ブランド間のスイッチを繰り返す

・ブランドスイッチによる心理的リスクが小さい

・不満足ではなく、飽き or 新奇性への欲求から

・強固な選好が形成されていない

  ⇒目についた、意識的に変えたい、できるだけ多くのブランドを試したい …

・名前や特徴を漠然と知っている ブランドに対する態度は購買・消費の最中に形成

 

購買者の意思決定プロセス

ニーズの認識  内部刺激(生理的欲求など)、外部刺激(広告など)によって覚醒する

  ↓    

情報探索    覚醒した消費者は、さらに情報を集めようとする

  ↓

代替品の評価  情報からブランドを絞り込む

  ↓     (入手可能集合→知名集合→想起集合→選択集合→決定)

購買決定    購買後の満足度 (再購買、退出、返品・キャンセル)

 

新製品に対する購買者の意思決定プロセス

新製品とは:潜在顧客に新しいものと知覚される製品

 

認知 :新製品の存在を知る段階、情報は持っていない

 ↓

関心 :新製品に関する情報を求める段階

 ↓

評価 :新製品を試す価値があるかどうか検討する 段階

 ↓

試用 :新製品を少しだけ試す段階、価値を吟味する

 ↓

採用 :新製品を本格的かつ定期的に使用する段階