ミクロ経済学 → 外部性

【外部性】Externalityある人の行動が周囲の人の厚生に、金銭の補償なく影響を及ぼすこと。

            (考慮していない周囲への影響)

  

  外部性がある場合は、生産者にとっての費用より、社会にとっての費用の方が大きい。

     生産者の費用 < 社会の費用 

 

【外部性の内部化】internalizing the externality

  自分の行動の外部効果を考慮に入れるようにインセンティブを変えること。

 

 

<負の外部性>

 自動車の利便性 ⇒ 排気ガスという外部性

 鉄道の便益   ⇒ 騒音という外部性

 工場の生産   ⇒ 排出される汚染物質

 原発の安い電力 ⇒ 原発事故という高い代償

  

汚染のような負の外部性があるとき、財の社会的費用は私的費用を上回る。

そのため外部性を考慮した社会的費用は供給曲線の上方に位置する。

したがって外部性を考慮した最適生産量は市場の均衡生産量よりも少ない。

これを成すために当該財に対して課税する手法を外部性の内部化という。

 

 

<正の外部性>

 教育・・・学識豊かな有権者となり良い政府を作る。犯罪率が減る。

      技術の開発や普及を促進し、多くの人に高い生産性をもたらす。

      などがあり、私的便益に加えて社会的便益がある。

      したがってそこに政府が助成してでも教育を施す価値がある。

       

正の外部性があるとき、財の社会的価値は私的価値を上回る。

そのため外部性を考慮した社会的価値曲線は需要曲線よりも上方に位置する。

したがって最適生産量は市場均衡量よりも多くなる。

 

外部性に対する公共政策

政策決定者は、資源配分を社会的最適に近づけることを目的として政策を打ち出している。

一般に外部性に対して政府が対応できる方法は次の2つである。

 

指導・監督政策:規制

行動を直接規制するもの

  • 汚染物質の最大排出量を決める。
  • 排出を減らすために特定の技術の採用を企業に求める。 

など

 

市場重視政策

行動を規制するのではなく、私的インセンティブと社会的効率性を整合させる。

  • 矯正税:負の外部性に課税して内部化する
  • 矯正補助金:正の外部性に対して補助金を出す
  • 売買可能な排出権取引

※矯正税は政府に税収をもたらしながら経済効率も高める。

 

 

まとめ

負の外部性があるとき、社会的に最適な生産量は、市場均衡生産量よりも少なくなり、

正の外部性があるとき、社会的に最適な生産量は、市場均衡生産量よりも多くなる。

この問題を解決するために、政府は

負の外部性を持つ財に課税し、

正の外部性を持つ財に補助金を出すことで、 外部性を内部化することができる。