国際収支

概念

(1)国際収支の定義

一定期間にその国の居住者と非居住者との間で、行われたあらゆる経済的取引体系的に記録したもの

 

一定期間:一般的には1年だが半年や四半期などもある(フロー統計)

     発生主義で記録 所有権が移転したとき(貿易では税関を通過したとき)

     ファイナンシャルリースも所有権が移転したとみなして計上する

居住者と非居住者:国籍とは無関係 1年以上居住の者

あらゆる経済的取引:貨幣的決済、バーター(物々交換)、実物贈与、無償取引を含む

体系的に記録:複式簿記の原理によって記録(IMF独自のもので一般と異なる)

 

(2)国際収支の項目

大項目 小項目 説明

経常収支

貿易収支

輸出と輸入の差、通関統計(CIF価格)を使用するが

サービス収支である運賃と保険料は除いて集計する

サービス収支 輸送・旅行・その他サービス
第一次所得収支

雇用者報酬

投資収益(投資そのものは金融収支)

第二次所得収支 無償の実物・金融資産の提供
資本移転等収支 資本移転 無償資金援助(インフラ整備等)、債務の減免
非金融非生産資産 著作権・特許権・営業権
金融収支 直接投資 支配・影響力を及ぼす(議決権の10%以上)の投資
証券投資 支配目的ではなく、外国株や外国債の購入
金融派生商品

オプションのプレミアム、通貨スワップの元本交換差額、

金利スワップの金利・配当金・キャピタルゲイン

その他資本 その他の金融取引すべて(現金・預金)
外貨準備 通貨当局が管理している対外資産
誤差脱漏   統計上の誤差、貸借を一致されるための項目

国際収支表は、4つの大分類で記録される

 

①経常収支

商品・サービス・所得等の経常取引を計上する。4つある。

【貿易収支】:輸出と輸入の差額を記録

【サービス収支】:輸送・旅行・その他サービス

【第一次所得収支】:雇用者報酬・投資収益・その他第一次所得

【第二次所得収支】:対価を伴わない実物・金融資産の提供を記録

 

②資本等移転等収支

対価を伴わない取引を記録。資金援助。相手国の道路整備・ダム建設などの無償資金援助

債務の減免など

 

③金融収支

 対外金融資産の取得処分にかかわる取引が計上される。

【直接投資】:他の経済圏の企業の議決権を10%以上取得するクロスボーダー投資

【証券投資】:資産運用目的の外国株・外国債の購入

【金融派生商品(デリバティブ)】:リスクを相殺するための金融商品

               オプション・金利スワップ・通貨スワップなど 

【外貨準備】:通貨当局が管理している対外資産。外国為替市場への介入などの目的

【その他投資】:上記のどれにも該当しない金融取引が計上される。

 

④誤差脱漏

統計上の齟齬を計上する項目。 

輸出は通関統計、支払いは銀行のデータなど同時に把握されないため。

 

(3)国際収支の恒等式

経常収支=[貿易収支]+[サービス収支]+[第一所得収支]+[第二所得収支]

 

金融収支=[直接投資]+[証券投資]+[金融派生商品]+[その他投資]+[外貨準備増減]

 

[経常収支]+[資本移転収支]-[金融収支]+[誤差脱漏]=0

 

国際収支表の作成

(1)作成原則

借方 貸方
 経常収支 金融収支 経常収支 金融収支 
現金の受取

資産の減少

負債の増加

現金の支払

資産の増加

負債の減少