寡占

keyword

【寡占】oligopoly:ほんの少しの売り手が類似または同一の製品を提供している市場構造

【共謀】collusion:企業間で価格や生産量について結ばれる協定
【カルテル】cartel:一体となって行動する企業の集団
【ゲーム理論】game theory:戦略的な状況で人々がどのような行動をとるかの研究
【囚人のジレンマ】prisoner's dilemma:協調すれば相互に利益が得られるときでさえ

                    協調を維持することが困難であることを示す例
【支配戦略】dominant strategy:相手プレイヤーの選択に関わらず、自分にとって最適な戦略
【ナッシュ均衡】Nash equilibrium:相互作用する経済主体が、他の主体が選んだ戦略を

                  所与として、自己の最適な戦略を選ぶ状況

 

 【寡占】:

  • ほんの少しの売り手
  • 類似または同一の製品を提供している市場構造
  • それぞれの企業が相互依存関係にある

 

 【ゲーム理論】:戦略的な状況で人々がどのような行動をとるかの研究

 

少数の売り手しかいない市場

少数の売り手

  • 協調と利己心の綱引き
  • 協調するとき最も望ましい結果となる
    (協調し独占者のように、少量の生産をし、限界費用を上回る価格をつける)
  • しかしどの企業も自社の利潤にしか関心がない
     ⇒協調をやめる強いインセンティブが働く

複占

  • 2社のみの寡占
  • どれだけの量を販売するかを決定する
  • 需要曲線によって価格は決定される

カルテルを形成し独占利潤を得たいが、利己心により協調できないことが多い。

政策の観点でも反トラスト法により禁止されている。

 

寡占企業が個々に利潤を最大化する量を生産するとき

 生産量は、独占 < 寡占 < 競争(=効率的生産量)

 価格は、 独占 > 寡占 > 競争(=限界費用)

となる。

 

カルテルを形成する場合

  • 合計の利潤は最大化される
  • 独占供給量を生産
  • 独占価格をつける
  • 集団が大きくなると、合意へ到達するのも、それを守らせるのも難しくなる

 

カルテルを形成しない場合

各企業は2つの効果を天秤にかける

  • 生産量効果➚
    価格が限界費用よりも高いので、現在の価格で財を1単位多く売ると利潤が増加する
  • 価格効果➘
    生産を増やすと財の価格が下落し、増加分以外のすべての販売量についての利潤も減少する

 

寡占における企業数が多くなると

  • 寡占市場は競争市場に近づく
  • プライステイカーになるので価格効果はない
  • 生産量効果のみを考慮するようになる
  • 価格は限界費用に近づく
  • 生産量は社会的に効率的な水準に近づく

 

協調の経済学

囚人のジレンマ

協調すれば相互に利益が得られるときでさえ、協調を維持することが困難であることを示す例。

両者が利己的で自分の利益にしか関心がないことが前提。

その際、支配戦略は、相互に利益が得られる戦略ではない。

同じことがビジネスにおいても起こる。

利得表を作って考える。

 

経済主体の一方がどちらの戦略をとっても、他方の支配戦略は高生産量となる。

そして非協力的な均衡に至る。

 

囚人のジレンマと社会的厚生

非協力的な均衡は、社会的厚生に寄与する場合としない場合がある。

  • プレイヤーだけでなく社会全体にとってもよくないケース
    軍拡ゲーム、共有資源ゲーム
  • 社会全体にとって望ましいケース
    生産量と価格は最適な水準に近くなる

 

人々が協調するとき

1度きりのゲームでは、利己心のため合意に従うインセンティブを持たない。

繰り返しゲームでは、約束を破るとしっぺ返しを喰う。

約束を破った際の罰則も決めておく

将来の利潤を考慮すると約束を破ることで1度だけ得られる利益をあきらめることを選択する。

いったん裏切ると永久に罰則を適用するよりも、一定期間後、協調に戻ることを認める方が好ましい。

 

プレイヤーは協調から始め、その後は何であれ相手がとったことを行う。

相手が裏切るまで協調し、相手が再び協調するまで裏切り続ける。

この戦略は友好的に始まり、非友好的なプレイヤーを罰し、もし友好的になれば許す。

この単純な戦略が他のどの複雑な戦略よりも良い結果となった。(政治学者アクセルロッド)

 

 

寡占に対する公共政策

政策立案者は、資源配分を社会的に最適なものに近づけるため、

寡占企業が協調ではなく競争するように促すべき。

 

反トラスト法

  • 1890年 シャーマン法
    寡占企業間の協定を「強制できない契約」から犯罪になる「共謀」へと高めた
  • 1914年 クレイトン法
    反トラスト法を強化し、損害賠償を被害の3倍とした。
  • 過剰な市場支配力をもたらすような合併を妨げる
  • 寡占企業が市場における競争を弱めるような行動を妨げる

 

反トラスト政策をめぐる論争

【再販売価格維持】
小売店に対してある価格で販売することを要求すること。

反競争的に見えるが擁護する立場もある。

⇒競争を弱める目的ではなく、小売店がサービスを提供するなどの合理的な目的を持っている。

 

【略奪価格】

ライバル企業を市場から駆逐するために、低すぎる価格をつけること。

⇒そのために価格を費用以下に引き下げて損失を出さなければならない。

 略奪する者は餌食となるものよりも大きな痛手を被る。

 経済学者は略奪価格が反トラストとして懸念すべき問題かどうかについて論争を続けている。

 

【抱合せ】

2つの製品をひとまとめにして売ることで市場支配力を拡大する。

⇒多くの経済学者は懐疑的。抱合せをしても市場支配力を拡大はできない。

 価格差別化の一形態に過ぎない。

 買い手の総支払許容額に近い合計価格をつけて利潤を増加させている。

 

【マイクロソフト事件】

ブラウザをOSと統合(抱合せ)することについて

OS市場での市場支配力をインターネット・ブラウザ市場に拡張しようとしている、という主張

⇒新しい特徴を古い製品に取り入れるのは技術進歩によって自然である

  自動車:CDプレイヤーやエアコンが装備

  カメラ:ストロボが内蔵

 

競争企業間の価格を固定することは、経済厚生を明らかに減少させるため、違法とすべきだが、

競争を弱めるようにみえる商習慣のなかには、合理的なものもあるかもしれない。

したがって政策立案者は反トラスト法を用いる際は注意が必要である。

 

 

まとめ

  • 寡占企業はカルテルを形成することで独占企業のようにふるまうことが可能になり、総利潤を最大化することができる。
    寡占企業が個別に生産水準を決定すれば、独占的結果より生産量は増加し、価格は下落する。
    寡占市場での企業数が多いほど、数量と価格は競争市場に近くなる。

  • 囚人のジレンマは、協調することでお互いの利益になるときでさえ、利己心のため協調が維持できなくなることを示す。
    この論理は、軍拡競争・共有資源問題・寡占といった多くの状況にあてはまる。

  • 政策立案者は、反トラスト法を用いて、寡占企業が競争を弱めるような行動を阻止する。
    しかし合理的な経営上の目的を持つものもあるため、この法の適用には論争が多い。