外部性

その前に 経済モデルの一般論

 

自然科学は実験ができるが社会科学は実験ができないためモデルを作って議論する

その際、仮定が重要になる。

 

 仮定1→論理プロセス→帰結1

 仮定2→論理プロセス→帰結2

 

仮定が同じなら論理プロセスを間違えなければ、必ず同じ帰結になる。

帰結が異なるのであれば、仮定が異なる。

  

※仮定(前提)の違いを考えることが大切

  それを理解するために「産業公害モデル」と「たばこモデル」を見てゆく

 

外部性の概念

市場機構と市場の失敗

 ①外部性

 ②公共財

 ③費用逓減産業

 ④情報の不完全性

 

環境問題と外部性

 

 

外部性のモデル分析

産業公害モデル ~生産の外部性~ A.C.ピグー

<仮定>

 財  :X財 と 物質Y(公害物質)  しかない

 主 体:消費者と生産者       しかいない

 生産者:X財を生産。物質Yも排出。 川に物質Yを流す。物質Yに価格はない

 消費者:X財を消費。物質Yから被害

 市 場:X財市場           物質Yに市場はない

 

<単純化の仮定>

① X財生産1単位につき、物質Yは1単位排出される

② 物質Yの排出1単位につき、外部費用は1円である

 

 

市場均衡点と社会的最適点の乖離

*市場均衡点は,私的限界費用曲線と需要曲線との交点

*社会的最適点は,社会的限界費用曲線と需要曲線との交点

*市場均衡点と社会的最適点との乖離は,何らかの政策なしには解消されない

   →市場の失敗 

 

市場均衡点を移動させる政策  →課税政策(供給曲線をシフトさせる)

 

生産者に課税しても消費者に課税しても同じ結果となる。

 

課税政策(市場均衡点の移動政策)

 ・ピグー税政策

 

 ・ボーモル=オーツ税政策(ピグー税政策の欠陥を補う)

 

課税政策の種類

・一括税、従量税、従価税

 (一括税は固定費用、短期的には効果がない、

  従量税・従価税は限界費用が変わるので供給曲線が変わる)

・課税主体(生産者、消費者)

・課税負担

 

  税種別  
従量税 従価税  

生産者  
消費者  

 

①生産者に従量税を課す。

 

②生産者に従価税を課す   価格の10%など

 

③消費者に従量税を課す。

  支払いが お店と政府の2つになる

  お店に払う金額は、税金を差し引いた金額にしたい

 

④消費者に従価税を課す

 

課税政策のまとめ

* 従量税,従価税によって,

  市場均衡点を社会的均衡点に移動することができる。

    (外部性を内部化することができる)

     内部化:外部性を取引対象に変えること

 

* 生産者,消費者いずれに課税しても,理論的には同一の効果を持つ。

 

 

現実問題:

ピグー税政策で公害対策をできた国はない。

社会的最適点を見つけることができないため、現実に適用できない。

外部費用の正確な計算ができない。

 

ボーモル=オーツ税

ピグー税政策を実施するためには,社会的限界費用曲線が明確であることが必要。

しかし,外部費用の測定は困難。

・正確なピグー税率の測定は不可能。 →ボーモル=オーツ税の登場

 

ボーモル=オーツ税では、社会的最適点を見つけることができなくてもOK。

物質Yの排出量から決めていく。

 

 

産業公害モデルでの政策的命題(結論)

* 外部性は政策的介入なしでは解消されない

* 外部性問題の解決のためには,何らかの政策的措置が必要である。

 

たばこモデル ~消費の外部性~ R.コース

<仮定>

 財  :たばこ,煙(副流煙)

 主 体:消費者A:喫煙家 たばこを消費 煙を排出。

     消費者B:嫌煙家 煙から被害

   空 間:Aの部屋,Bの部屋 (一緒にいる必要がない)

 主体間の関係:「仲が良い」 (市場はない、)

   (1) 同一空間にいることが互いに望ましいと感ずる。

   (2) 互いに対等の立場で交渉が可能。

 

2つの場合分け(2主体の居場所)

① Aの部屋に両者が居るケース

  Aの部屋は,原則的に喫煙可能

② Bの部屋に両者が居るケース

  Bの部屋は,原則的に禁煙

 

① BがAの部屋に行くケース

・Aのたばこ消費について,削減交渉が開始される。

・BはAにたばこ削減のために対価を支払い,Aにたばこを削減してもらう

・最終的に社会的最適点に到達。 → 外部性は自動的に解消される。  

 

② AがBの部屋に行くケース

・Aはたばこ消費の許可を求めて交渉を開始。

・Aはたばこ消費の許可を求めて,対価を支払い,Bにたばこ消費を許可してもらう

・最終的に社会的最適点に到達。 → 外部性は自動的に解消される。  

 

 

 

コースの定理

権利がどちらにあるかに関係なく、社会的最適点に到達する

 

Aの部屋(喫煙可能)であろうが、Bの部屋(禁煙)であろうが,

市場均衡点は社会的最適点に到達する。

 

外部性が存在したとしても,何らの政策的介入なしに,

社会的最適点に到達するメカニズムが働く。

→ コースの定理

 

 

 

A.C.ピグー

R.コース  
2主体の結びつき 市場を通じて 人間関係  
交渉可能性 なし あり  
取引き費用 高額 ゼロ  
権利・義務   設定する必要あり  
政策的介入 不可欠 不要  
解決方法 課税・補助金

当事者の自発的な

交換取引

 
思想  集権的

小さな政府や

分権的思想になじむ